自覚症状について

自覚症状が起きた時、どんな病気が考えられるかのアドバイスを載せました。御自分やご家族が具合が悪くなった時に読んで下さい。参考になれば嬉しいです。

 

熱がある

 平熱は36.5度程度で、通常は37度以上あれば発熱と考えます。体温の上昇を起こす原因は細菌やウイルスなどが体内に侵入して引き起こされる感染症として扁桃腺炎、上気道炎、インフルエンザ、気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂炎、感染性腸炎、急性虫垂炎などがあり、まれに脳脊髄膜炎、敗血症という重症な病気もあります。感染症以外の発熱は暑い季節では、乳幼児や高齢者の熱中症や脱水症も考える必要がありますが、脳腫瘍、脳出血などの中枢神経性発熱、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病、がん、悪性リンパ腫、白血病などによる場合もあります。
 感染症による高熱には通常解熱薬を用います。子供の発熱などに解熱剤を使わないで冷やすだけという考えもあるようですが、大人でも発熱は体力を消耗しますし、乳幼児の場合は熱性痙攣などを起こすこともあるので私は解熱剤の使用を勧めます。

 

疲れやだるさがある

 疲れやだるさは日常誰でも経験するもので、自覚症状の強さには個人差が見られますが、栄養のバランスをとって休養していれば、たいていは数日のうちに回復するものです。しかし、それが続くようなら、やはり体のどこかに異常があるかもしれません。慢性の疲労以外にも、低血圧、加齢、精神的ストレス、不眠症なども考えられます。慢性の病気では肝炎や肝硬変などの肝臓の病気、子宮筋腫、胃・十二指腸潰瘍、大腸がんなどからの出血による高度の貧血、急に喉の渇きや尿量の増加がみられる糖尿病、野菜不足による低カリウム血症、肺結核再発などの他に、がん、白血病、悪性リンパ腫などの悪性疾患などがありますから、まず、主治医に相談して下さい。

 

血を吐いた

 血を吐いた時には吐血と喀血の区別が必要です。吐血は食道や胃・十二指腸など上部消化管の病気に因って吐き気とともに吐き出されるもので、食物が混じる場合、吐物内の血液が胃酸でコーヒーの様などす黒い色に変わっている場合など、さまざまです。原因は病巣からの出血、食道内腔破裂などによるもので、食道潰瘍、食道静脈瘤破裂、食道がん、急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍などがあります。
 一方、喀血は咳と共に喀出され、多くは鮮やかな紅色をして気泡が見られるのも特徴です。肺結核、気管支拡張症、肺がんなど、呼吸器系の疾患によるものです。吐血の場合も、喀血の場合も、横を向くなどして上手に呼吸をしていないと、肺の中に入ってしまい、呼吸困難を起こし、窒息死を招くことがあります。
 痰に血が混じる場合は痰の検査の他に胸部X線検査が必要と思いますが、耳鼻科で喉頭鏡検査をしてもらうと上咽頭、中咽頭、下咽頭などの病気があるかどうか分ります。

 

咳・痰がひどい

 咳は気管に入ろうとする異物や気管内に生じた分泌物などを排出する大事な役割を果たしています。痰を伴わない乾いた咳と、痰が絡む湿った咳があります。乾いた咳は咽頭炎、上気道炎や初期の気管支炎などで見られ、湿った咳は上咽頭炎、気管支喘息、気管支炎、肺炎、肺結核、肺がんなどで起こりますが、肺結核や肺がんなどが進行すると痰に血が混じる(血痰)こともあります。高齢者や脳卒中後遺症などでは食べ物や飲み物が間違えて肺に入った後に起きてしまう誤嚥性肺炎を起こして致命的になることもありますから、食事を介護する場合は起き上がらせて食べさせる、とろみのある食事を作るなどの心配りが必要かと思います。また、空気が汚れている作業環境で仕事をしなければならない場合は、汚れた空気をダクトで吸い取る、防塵マスクを使うなどの対策が必要です。個人的にはペットボトルなどの水で嗽(うがい)をし、その後何度かに分けて水を飲み込むと口腔内だけでなく、奥の方の咽頭も水洗いされてきれいになりますし、飲み込んだ汚れの処理は胃酸が受け持ってくれます。

 

呼吸が苦しい

 激しい運動や興奮した時などは健康な人でも息切れや呼吸困難を感じます。しかし、心臓や肺、気道などに病気があると、安静にしているときでも呼吸が苦しくなります。呼吸困難を起こす病気としては心臓弁膜症、うっ血性心不全、心筋梗塞、心筋症などの心臓循環器系の病気や、尿毒症、薬剤アレルギー症状、過呼吸症候群などもあります。呼吸器の病気では誤嚥、気管支喘息、肺炎、肺梗塞、肺水腫、肺結核、自然気胸、慢性閉塞性肺疾患、肺がんなどがあります。慢性閉塞性肺疾患と呼ばれる病気は慢性気管支炎、肺気腫を纏めたものです。喫煙がきっかけになり肺の組織や気道に炎症が起こり、徐々に破壊される病気です。多くは咳と痰が見られ、息を吸うことはできるけれど、吐くことが難しくなり呼吸困難が進行してきます。

 

動悸がする、脈が乱れる

 激しい運動をした時や、緊張やストレスがあったりすると健康な人でも動悸が激しくなりますが、通常は時間が経つと治まるものです。しかし、運動をしていないのに動悸を感じる時は、心臓に何らかの異常がある場合が多いので注意が必要です。脈の打ち方が時々不規則になる期外収縮と、脈が速くなったり遅くなったりしていつも脈が乱れる心房細動などがあります。心房細動の場合、心房が定期的に収縮しないで漣(さざ波)のようにうごめいているだけなので心房中で血液がよどんで血の塊を作りやすくなり、その塊が脳などの動脈に詰ると脳塞栓を起こしてしまいますから、心房細動を治したり、血液が固まりにくくしたりする治療をします。また、心臓の拍動が一時的に止まったりして意識が無くなって倒れてしまうアダムス・ストーク症候群の場合、生命に危険があるため人工ペースメーカーを体内に装着して、その電気刺激で心臓を動かす方法をとる必要があります。

 

胸のあたりが痛む

 胸の痛みは心臓や肺、大動脈疾患の症状であることが多く、重大な病気の可能性が高いので、速やかに医師の診察を受けることが必要です。主な病気は狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤などの循環器の病気、肺炎、気管支炎、自然気胸、肋膜炎、肺梗塞などの呼吸器の病気、肋間神経痛、皮膚神経疾患である帯状疱疹などがあります。その他、食道潰瘍、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、急性膵炎、胆のう炎などの消化器系疾患でも、胸痛として感じることがしばしばあります。
 脂が多い食事が続いていると血液中の脂質が徐々に増え、血液がギトギトしてしまい、細い血管に流れにくくなるので狭心症や心筋梗塞を起こしやすいのです。夜中に胸が突然痛くなった場合は、狭心症、心筋梗塞の可能性が高いので、手元にニトログリセリンの舌下錠などがあったらすぐに口に含んで、それでも強い痛みが改善しない場合は、救急車を呼んで循環器内科専門病院へ搬送してもらって下さい。心臓カテーテル検査をし、細くなっている冠動脈が見つかった場合はその部分をバルーン(風船)で拡げ、ステント(蛇腹)を入れると心臓の血流が確保されるためすっかり症状が無くなってしまいます。

 

吐き気があり、嘔吐する

 吐き気や嘔吐は多くの場合、胃炎、食中毒、十二指腸潰瘍、幽門狭窄、胃がん、感染性腸炎、腸閉塞などの消化管疾患、肝炎や胆嚢炎などの肝臓や胆嚢疾患などが原因になります。嘔吐しているうちに胃の粘膜に傷が出来て血を吐くこともあります。病気でなくても精神的ストレス、乗り物酔い、薬の副作用などもあり、その他に、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍などで脳圧が高くなって激しい頭痛に伴って起こることもあります。
 1日3回、飲み過ぎ・食べ過ぎをしないで規則正しい食事をする、暖かくて消化が良いものを食べるなどを心掛けても改善しない場合は検査を受けることが必要です。しかし、妊娠の可能性がある女性の場合はつわりの可能性もありますから、レントゲン検査を受けたり服薬をしたりする前に妊娠の可能性も考えて下さい。

 

お腹が痛い

 腹部には胃・十二指腸、小腸、大腸などの消化管や肝臓・胆嚢・膵臓、腎臓などの臓器があります。胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などは食後や空腹時など食事との関係が深いことが多く、胆石、尿管結石などは突然激しい疼痛が起こり、うずくまって動けなくなってしまいますが、暫らくすると少しの間だけ痛みが弱まることが多いので、このときに救急車の手配などをすることが肝要です。お酒を飲む機会が多く、脂っこい食事や肉が続いている場合に、お腹から背中にかけて違和感があり痛いなどの場合は急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんなどの病気の可能性もあります。また、発熱とともに右下腹部痛が起きた場合は虫垂炎や腹膜炎などを疑い、可能性があるか自分で調べるには、お腹をゆっくりと圧迫してからさっと手を離し、圧迫した時よりも離す時の痛みが強く、お腹全体に響く場合は腹膜炎の可能性があります。激痛を伴う急性腹症は緊急手術を含め、早急な診察と治療が必要になりますから、救急車を呼んで消化器専門病院へ運んでもらって下さい。

 

黄疸が出た

 黄疸は肝臓で作られるビリルビンと言う黄色い色素が血液中に増加して現れる症状で、最初は眼球の白目の部分が黄色くなり、そのうちに皮膚が黄色になります。身の置き所が無いくらい全身がだるい、食欲が無い、身体がかゆい、眠れない等の症状が出るようになります。原因としてはウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんなどのように肝臓の細胞が壊れて起きる病気、胆石、胆のう炎、胆管がん、膵臓がんなどのように胆汁が胆管から十二指腸へ流れにくくなる病気の他に、溶血性貧血など赤血球が壊れて起きる病気もあり、それぞれの病気によって治療法も治り方も違います。胆管がん、胆のうがん、膵臓がんなどで急速に胆管が閉塞する場合は緊急処置が必要になりますから、消化器専門病院を受診する必要があります。黄疸にならないようにするには規則正しい食生活を続け、過度の飲酒を避けることなどが必要条件でしょう。

 

血便・下血らしい

 便に血が混じる(血便)場合は消化管内で出血があるためで、出血した部位や量によって便の色が違ってきます。胃潰瘍、十二指腸潰瘍の他に、"マロリー・ワイス症候群"という、胃の粘膜の下の血管が切れて出血する病気があります。暴飲暴食が原因で、嘔吐する際にかかる激しい胃の内圧で食道と胃の境目あたりの粘膜が縦に切り裂かれて大量に出血する病気です。嘔吐した後にみぞおち付近に強い痛みが走ることもあり、翌日に血液の混じったコールタール状の真っ黒な便が出ることもあります。一方、S状結腸、直腸などの下部消化管からの出血では、血液は赤いまま便に混じります。特に排便時にぽたぽたと血が滴るようなら、肛門や直腸の疾患が疑われます。また、発熱を伴って粘液性の血便になった時は潰瘍性大腸炎や細菌性腸炎、あるいは赤痢などの伝染病の疑いがあります。中高年では症状がなくても大腸ポリープ、大腸がんの検診のため、定期的に便に血液が混じっているかどうかの便潜血反応検査を受けることを勧めます。初期のポリープの段階なら、内視鏡で切除することが出来ますが、進行してしまうと開腹手術、場合によっては人工肛門(ストーマ)装着を余儀なくされていまいます。

 

浮腫みがある

 浮腫みは身体の細胞や組織の間に水が溜まることによって起こります。主な原因としては腎臓病、心不全、肝硬変、薬剤性などがあり、腎臓で水分や老廃物を尿として充分に排泄できないときには全身、特に目のあたりがむくむことが多いようです。血液の循環を調節している心臓の働きが低下し、毛細血管の血液が正常に心臓に戻れない場合に毛細血管の圧が上昇して血管内の水分が外にじみ出て浮腫みが起こり、特に下肢のむくみが目立ちます。下肢の静脈には逆流止めの弁がところどころにあるので、つま先を上げて歩くと腓腹筋(ひらめ筋)が収縮して、足の静脈をしごくので静脈内の血液が心臓に戻りやすくなり、むくみを減らすことが出来ます。また、尿中に蛋白質がたくさん漏れて血液中の蛋白質が低下してしまうネフローゼ症候群や肝臓で蛋白質を作れなくなってしまう肝硬変などでは血液中の蛋白質の濃度が低下し、全身のむくみが起きてきます。